HOME > 慰謝料の基礎知識 > 慰謝料とは

慰謝料とは

慰謝料とは「損害賠償」の一種であり、非財産的損害に対する賠償です。

大原則として、故意または過失によって他人の権利または法律上保護された利益を侵害した場合には、その損害を賠償をしなければなりません。

故意又は過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

「故意または過失によって他人の権利または法律上保護された利益を侵害した」とは、民事的に違法であり、法律上許されないレベルのことをいいます。

「損害賠償」は、事案ごとに、修理費や治療費、休業損害、などいくつかの項目があります。

損害の種類

慰謝料が認められるのは「不法行為」に基づいて生じた精神的苦痛などの「非財産的損害」に対してです。

他人の身体、自由もしくは名誉を侵害した場合または他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、第709条の規定により損害賠償の責任を負うものは、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。

つまり、いくら嫌なことや辛いことがあって精神的に傷ついたからといって、直ちに慰謝料が生じる訳ではありません。
・個人間における侮辱や暴言、誹謗中傷、罵詈雑言、約束違反、不誠実、等

例えば、不貞行為に対しての慰謝料が認められるのは、民法に定める「夫婦間の貞操義務」違反となるためです。
そのため、肉体関係を伴わないプラトニックな不倫では、慰謝料が認められる可能性は極めて低いですし、独身カップルの場合だと、二股や三股などされて精神的に傷ついたとしても、慰謝料が認められることはありません。

また、一般に「精神的苦痛に対する損害賠償」といわれるとおり、人的被害に対しては慰謝料が認められますが、物的被害(財産的)に対しては経済的損害の弁償が原則であり、慰謝料までは認められません。

ただし例外的に

  • 親の形見などの重要な遺品や墓石、骨壷
  • 家族同様に大切に育てた大切なペット
  • 多大な手間や労力を伴う芸術作品

など、特別な事情があれば、物的損害についても慰謝料が認められる場合が稀にあります。


通常、物を壊したという場合であれば、価額が明らかなため、金銭での賠償が明快です。
ところが、目に見えない精神的苦痛などの無形な損害の場合、厳密には、如何なる金銭を以てしても、償うことは不可能です。
かといって、何等の賠償をしないでいいという訳にはいかないために「慰謝料」という制度があるのです。

なお、慰謝料には、被害者の報復感情を充足するためのものであるとする「制裁説」と、損害の填補であるとする「補填説」がありますが、判例や通説は、補填説にたっています。

また、損害賠償の方法は、原状回復ではなく、原則として金銭に見積もって賠償することと定められています。

損害賠償は、別段の意思表示がないときは、金銭をもってその額を定める。

第417条の規定は、不法行為による損害賠償について準用する。
被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。

一般に、「精神的苦痛」という場合、個々人の価値観によっても異なり、主観的な要素が過分に含まれます。
しかし、個々の主観的な苦痛の大小を測ることは不可能ですし、主観というのは、個々人によっても、その時のおかれた環境や場所・立場などによっても変動するものですから、基準を定めることは出来ません。
その為、慰謝料の請求金額には、決まりや上限というものは存在しないので、仮に、当事者間で合意した場合には、それが5万円であっても、1千万円であっても、原則として、有効に成立することになります。

ただし、当事者間で合意に至らない場合には、最終的には、裁判官が、一般的な社会通念上の平均的価値観に従って損害の大小を判断し、額を決定することになります。

慰謝料とは、原則として、不法行為に基づく損害賠償です。
例えば、単に「嘘をつかれて多大な精神的苦痛を受けた」などということでは、慰謝料は発生しません。

つまり、原則として、不法行為と評価することが出来る原因事実によって生じたものでなければなりません。

よって、「非常識である」「礼儀や挨拶が無い」「横柄である」などなどの、道徳上・社会上の問題や非があるという場合であっても、よほど、社会通念上の許容範囲や受忍限度を超えるような「違法性」が認められない限り、法律上の「不法行為」とはなりません。

一般に、物的損害(財産的損害)の場合には、原則として、財産的損害の現存価値が賠償されることによって精神的損害も慰謝されたものとみなされ、別途の慰謝料は認められません。
人間の身体や名誉、自由、等の非財産的損害に対してのみ、慰謝料が認められるのが原則、ということです。
ただし、例外的に、生活の本拠・基盤である自宅建物や営業用家屋を失った場合や、家族同様の地位を占めていたペットを死亡させられた場合、先祖代々の大切な家宝を損壊させられた場合、等、特別な事情がある場合には、慰謝料を認めるケースがあります。

なお、そのような場合の慰謝料金額は、被害金額全体の1割程度と判断されることが多いようです。


慰謝料には、上記「不法行為」の場合の他、婚約の破棄や住宅の欠陥工事、老人ホームのサービス不完全、等、契約に関する「債務不履行」に基づく損害賠償という構成の場合もあります。

慰謝料の発生原因には、実に様々なものがありますが、主要なものは、以下のとおりです。

●離婚や内縁の不当破棄
●夫または妻の不倫(不貞行為)
●婚約の不当な破棄
●セクシャル・ハラスメント
●パワー・ハラスメント、いじめ
●ストーカー被害
●DVや暴行・傷害、虐待、などの暴力行為
●名誉毀損やプライバシーの侵害
●医療過誤(医療事故)、誤診による損害
●交通事故や学校・施設での事故
●騒音や悪臭、日照や眺望の妨害
●待遇や賃金の差別、退職強要
●強姦や強制わいせつ等の性被害
他。


慰謝料トラブルについて

慰謝料トラブルについての説明ページになります。
是非、ご拝読のほど、よろしくお願いします。

慰謝料トラブルについて




HOME > 慰謝料の基礎知識 > 慰謝料とは


慰謝料請求jp サイト内メニュー

慰謝料の種類・類型 不倫・婚約破棄・セクハラ・傷害など、慰謝料の主たる種類・類型に関しての詳細説明・個別解説。
慰謝料の基礎知識 慰謝料とは何か、慰謝料の相場・算定方法、判例、請求方法、等の基礎知識。
雛形・文例 慰謝料請求に関して必要となる一般的な文書(内容証明・示談書・告訴状)などの雛形サンプル。
事務所概要 当事務所の概要、アクセス方法、および、代表者ご挨拶