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強姦や強制わいせつ、盗撮・のぞき、痴漢の慰謝料請求

性犯罪被害の慰謝料請求 盗撮・のぞき、痴漢、レイプ(強姦)や強制わいせつ、等の犯罪行為や反社会的行為は、不法行為となります。
そのため、犯罪被害者は、被った精神的苦痛に対する慰謝料請求をすることが可能です。
また、刑事上も、強制わいせつ罪(刑法第176条)や強姦罪(刑法第177条)、公共団体ごとの迷惑防止条例違反、等の「犯罪行為」として処罰を求めることが出来ます。

強制わいせつ・強姦


■平成18年度の「犯罪白書」より

強姦は半数以上が住宅内で起こっており、被害者の80%が、加害者と面識なしと回答しています。

強制わいせつは、屋外(道路上、駐車場、空き地、都市公園等)での発生が多くなっています。
そして被害者の約90%が、加害者と「面識なし」と回答しています。

「強姦」の加害者の68.2%、「強制わいせつ」の加害者の67.3%が、有職者です。

一般刑法犯全体における有職者の比率は33.2%ですから、性暴力加害者の2分の1に過ぎません。
つまり性暴力加害者は、他の犯罪加害者以上に「普通の社会人として働いている人」が大半である、
ということです。


強制わいせつや強姦などの性犯罪は、犯罪類型としては、刑法第2編第22章「わいせつ、姦淫及び重婚の罪」のうち、刑法176条〜刑法184条に規定され、性的自由に対する罪(個人的法益に対する罪)に分類されています。

そのため、公然わいせつ罪(刑法174条)等の「性的感情に対する罪(社会的法益に対する罪)」とは法的性格が異なるものと解されており、罰金刑が無く、刑罰は重いものとなります。

十三歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
暴行又は脅迫を用いて十三歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、三年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の女子を姦淫した者も、同様とする。
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。
女子の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、姦淫した者は、前条の例による。
二人以上の者が現場において共同して第百七十七条又は前条第二項の罪を犯したときは、四年以上の有期懲役に処する。
第百七十六条から前条までの罪の未遂は、罰する。
第百七十六条から第百七十八条までの罪及びこれらの罪の未遂罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
前項の規定は、二人以上の者が現場において共同して犯した第百七十六条若しくは第百七十八条第一項の罪又はこれらの罪の未遂罪については、適用しない。

暴行や脅迫を用いてわいせつな行為を行うと強制わいせつ罪となります。
ただし、13歳未満に対しては、暴行や脅迫を用いていなくても、わいせつな行為そのものが罪になります。

暴行や脅迫を用いて姦淫を行うと強制わいせつ罪となります。
ただし、13歳未満に対しては、暴行や脅迫を用いていなくても、姦淫そのものが罪になります。

お酒を飲み過ぎて酩酊状態にある相手に対して、わいせつな行為や姦淫を行った場合、その時点で合意があったと主張しても通用しません。
準強制わいせつ罪、準強姦罪、として、上記と同様の処罰を受けます。

また、強制わいせつや強姦については、仮に未遂であっても、処罰されます。

原則として、強制わいせつや強姦については、「親告罪」といって、被害者からの告訴が無ければ、刑事起訴されることはありません。
ただし、良く誤解されている方が多いのですが、複数の者による強制わいせつや強姦、および、強姦致傷、などの場合は、「親告罪」とはなりませんので、被害者の告訴が無くても、処罰される可能性がありますので、お間違えのないよう、ご注意下さい。


強姦・強制わいせつの公訴時効

公訴時効は、刑法上の刑罰の内容によって、刑事訴訟法によって定められており、以下の通りとなります。


公訴時効
7年
10年
7年
15年

刑事訴訟法に定める公訴時効

殺人罪以外の犯罪については、公訴(起訴)することの出来る期間(時効)の定めがあります。

第250条時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの(死刑に当たるものを除く。)については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。
無期の懲役又は禁錮に当たる罪については三十年
長期二十年の懲役又は禁錮に当たる罪については二十年
前二号に掲げる罪以外の罪については十年
時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの以外の罪については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。
死刑に当たる罪については二十五年
無期の懲役又は禁錮に当たる罪については十五年
長期十五年以上の懲役又は禁錮に当たる罪については十年
長期十五年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については七年
長期十年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については五年
長期五年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪については三年
拘留又は科料に当たる罪については一年

加害者が株式会社の取締役である場合、禁固以上の刑に処せられると「欠格事由」に該当し、役員の資格を喪失します。

次に掲げる者は、取締役となることができない。
〜(1項〜3項 省略)〜
前号に規定する法律の規定以外の法令の規定に違反し、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く。)



性犯罪に対する慰謝料請求

犯罪被害に対する慰謝料等の請求についてですが、原則として、請求する金額は自由です。
ただし、裁判の場合で認められるのは、実際に生じた必要最小限の損害のみに限られます。

強姦や準強姦などの性行為に発展している事案においては、大半が100万円以上であり、中絶や傷害の被害も重なる場合や複数回などの悪質性が高い場合は、300万円〜500万円超えなどの高額事案もあります。

性行為まで発展していない強制わいせつなどの場合は、100万円以内が大半のようです。

下着泥棒の場合、下着代の弁償、および、医師の診療を受けた場合の医療費、などについては請求が認められますが、防犯カメラ代や引越代などの実費については、残念ながら、請求が認められる可能性は低いです。
また、盗まれた下着は中古品という扱いですので、その被害額の評価は低いものになってしまいますし、裁判で認められる慰謝料は5万〜30万円程度という少額であることが大半です。

ただし、窃盗罪の場合、仮に前科がない場合でも10万〜30万程度の罰金刑となる可能性は高いですし、そうなれば、前科がついてしまうことになりますので、加害者側から、告訴や被害届の取り下げ、または刑事処罰を求めないことを条件として、10万〜30万程度の示談金を提示されることは多いです。
また、もしも加害者が社会的地位のある方であれば、100万円以上の高額で示談となる場合もあります。

盗聴や盗撮の場合も、盗聴器・映像機器の調査費用などの実費について請求することは自由ですし、相手の加害者本人が任意に応じるのであれば示談することが可能ですが、裁判になった場合、認められる可能性は低いかと思われます。



幼少期の性的虐待

不法行為による損害賠償請求権は、本来、不法行為のときから20年の除斥期間で消滅しますが、幼少期に受けた叔父から受けた性的虐待について、最高裁が、23年後にうつ病と診断されたときを損害発生の起算点として、約3千万の慰謝料支払いを命じた判例があります(平成27年7月8日 最高裁 判決)。

この事案においては、当初の一審では「除斥期間が経過している」として請求を棄却していたことから、極めて難しい事案だったことは明らかですが、請求の余地がある、ということです。
法的な詳しい説明、専門的な相談、などについては、希望がある場合は、弁護士の先生を紹介させていただきますので、お気軽にお問い合わせください。


リベンジポルノ(復讐ポルノ)

2013年10月8日の三鷹ストーカー殺人事件において、加害者である元交際相手の男性が、被害女性のプライベートな写真および映像をインターネットを通じて拡散させたことが契機となり、2014年11月19日に国会で「リベンジポルノ防止法(正式名称:私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律)」が成立しました。

リベンジポルノ防止法(私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律)

平成26年11月27日に公布。同日施行。ただし罰則規定は平成26年12月17日から施行

元々、リベンジポルノ問題は、わいせつ物頒布罪や名誉毀損罪、ストーカー規制法違反のほか、18歳未満であれば児童ポルノ禁止法などいよって対処されていましたが、専門の法律が施行されることで、捜査や逮捕がスムーズに進むことが期待されています。

第三者が撮影対象者を特定することができる方法で,ネット上で公開したり、公然と陳列した場合、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。
※リベンジポルノは、親告罪であり、被害者の告訴が無ければ起訴することが出来ません。


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