HOME > 慰謝料の基礎知識 > 慰謝料の相殺
慰謝料の相殺
民法上、金銭の請求その他の債権は、二人が相互に貸金等の金銭債務を負う場合には、対等額の債務を以って消滅させること、すなわち「相殺」をすることが認められています。
(民法第505条)
相殺には、相手方の同意は不要で、弁済期が到来していれば、債権譲渡されている場合でも可能です。
ただし、「慰謝料請求」等、不法行為によって生じた債権を受働債権(相殺を受ける側の債権)とする相殺は、行なうことが出来ません。
(民法第509条)
民法第509条 | 債務が不法行為によって生じたときは、その債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない。 |
※簡単にいうと、例えば、貸したお金を返さない相手を殴ってけがをさせた加害者から、
その治療費や慰謝料と貸金債権を相殺する、ということは出来ない、ということです。
その相殺禁止の趣旨は,
【1】被害者に現実の弁済によって損害の填補を受けさせることが必要である。
【2】不法行為の責任が問われず、事実上保護されてしまうと、誘発する危険がある。
という2点にあります。
ただし、不法行為に基づく慰謝料であっても、不法行為の被害者にも過失がある場合や、不法行為によって利得が生じた場合等、一定の場合には、相殺を行なう必要があります。
それが、過失相殺と損益相殺という制度です。
過失相殺
過失相殺とは、損害賠償の額を定めるにあたり、被害者に過失がある場合に、その過失の分を控除することによって、損害の公平な分担を図ることをいいます。
例えば、交通事故において、走行している車同士であったり、一時停止無視、信号無視、など、被害者の側が注意を払っていれば防げた可能性がある場合には、当然、一定の落ち度(過失)がありますので、その分を損害金額から差し引く(控除)ことになります。
民法418条
「債務の不履行に関して債権者に過失があったときは,裁判所は,これを考慮して,損害賠償の責任及びその額を定める。」
被害者に全く過失がない場合を、「ジュウゼロ」または「ヒャクゼロ」等という言い方をすることがあります。
損益相殺
損益相殺とは、その損害に関連して埋め合わせ(てん補)が生じるなど、利益を得ている場合に、その分を調整することをいいます。
例えば、火災保険や自賠責保険(強制保険)の保険金や、労災などによる給付金を受け取った場合などが該当します。生命保険の保険金は、差し引かれません。
民法の条文上には規定がありませんが、判例や学説によって認められている概念です。
慰謝料請求jp サイト内メニュー
|
|
||||||||
|
|