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おまけ−珍しい慰謝料の事例

キャバクラ嬢の髪型が不当−美容院に対する慰謝料請求 判例

平成17年11月16日 東京地方裁判所 判決 判決全文はコチラ
平成18年 8月24日 東京高等裁判所 一審支持判決

新宿・歌舞伎町のキャバクラに勤める女性(27)が、美容室で希望通りのヘアスタイルにしてもらえなかったため苦痛を受けたとして、東京都渋谷区の美容室に600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は、約24万円の支払いを命じました。

女性は、雑誌の写真を示して希望の髪型とカラーリングを依頼したが、担当した美容師が、『自分に任せろ』などと言って十分な確認をせずにカットを行なったため、女性は、希望より短く切られ、髪形も違ったため、途中で店を出たという事案です。
裁判官は、「注意義務違反があった」と指摘。
「意にそわない髪形で一定期間過ごさなければならなくなった」
「女性は髪をアピールポイントとしていたのに自信が持てなくなった」
等として、金30万円の慰謝料を認定しました。
実際の賠償額については、既に裁判前に美容室が女性に支払った約10万円を差し引き、逆に弁護士費用などを加算し、24万円と算定されています。


不倫の証拠を示す証拠がなくても不法行為−慰謝料請求 判例

平成15年3月25日 東京簡易裁判所 判決 判決全文はコチラ

判例趣旨
被告とAとの間に肉体関係があったことを認めるに足りる証拠はないが,被告とAとの交際の程度は,数万円もするプレゼントを交換するとか,2人だけで大阪まで旅行するなど,思慮分別の十分であるべき年齢及び社会的地位にある男女の交際としては,明らかに社会的妥当性の範囲を逸脱するものであると言わざるを得ず,恋愛感情の吐露と見られる手紙を読んだ原告が,被告とAとの不倫を疑ったことは無理からぬところである。
被告のこれらの行為が,原告とAとの夫婦生活の平穏を害し原告に精神的苦痛を与えたことは明白であるから,被告は原告に対し不法行為責任を免れるものではない。

裁判所は、不貞行為の確たる証拠はないとしつつも、社会的妥当性の範囲を逸脱しているとして不法行為責任を認定しました。
なお、本件で支払が命じられた慰謝料は10万円ですが、要職の委員を辞任するなどの社会的制裁を受けていることや夫婦関係が修復され、離婚が回避されている点などが評価されての金額ですので、類似同様の不適切行為事案があった場合、充分に20万〜50万程度の慰謝料が認められる可能性もあるかと思われます。


「主婦の陰口」訴訟−近所の主婦らに対する慰謝料請求 判例

昭和59年8月24日 仙台地方裁判所 判決

通常、主婦の井戸端会議のような、特定の少人数による「陰口」は、名誉毀損や侮辱などの、法律上の不法行為とまでは評価されず、慰謝料請求が認められません。
しかしながら、社会通念上の許容限度を著しく超えると判断され、各々20万円ずつ、合計60万円の支払いを認めた判例があります。

近所同士の主婦3人が、同じく近所に住むA子さんのことを、
「Aさんが帰った後、衣類がなくなった」
「警察に盗みの瞬間を写真に撮られ、嫌疑をかけられている。」
「手癖が悪い」
等と陰口を言いふらし、さらには、A子さんの勤務先にまで電話をかけ、
「A子さんは、警察に目をつけられているから注意した方がいい」
等と誹謗中傷し、そのため、A子さん一家は、退職や、持ち家を処分して転居することまで考えたという事案。
裁判では、実際に陰口をきいたという人が証言し、主婦らもおおむね事実を認めたため、裁判所は「町内の単なるお茶飲み話の域を超えてる」として、主婦3人に対し、各々20万円、合計金60万円の慰謝料の支払を命じました。



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