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婚約破棄の判例

平成19年9月21日 東京地方裁判所 判決

【判決要旨】
「本件サイトは,独身者に結婚相手を紹介するサイトであるが,被告は,本件サイトに独身と偽って登録した。(中略)
上記認定事実によれば,被告は,本件サイトに会員登録し,独身であると偽って原告との交際を始め,結婚を前提とした交際であると信じた原告との間で,3年間近くにわたって肉体関係を伴う交際関係を継続したものであり,被告の上記行為は,原告に対する不法行為を構成するというべきである。そして,前記認定事実を総合すれば,原告が被った精神的損害を慰謝すべき慰謝料は250万円を下らないと判断するのが相当である。」


婚約破棄の判例

平成19年1月19日 東京地方裁判所 判決

【判決要旨】
前記認定事実によれば、婚約指輪を購入していないこと、結納の取り交わしがなされていないことが認められるが、かかる事実から直ちに法律上婚約が成立していないことにはならない。
この点、被告が、平成15年のゴールデンウイークころに原告に結婚を申し込み、これがきっかけに、平成15年10月、原告と被告は、教会を訪れたり、ホテルを訪れ、結婚式の候補日の状況を調べてもらったり、予算の見積を出してもらったりしたこと、同月19日に原告と被告は、結婚指輪を購入し、被告が支払をしたこと、その後、被告は、原告にウェディングドレスがリフォームできるという記事が掲載された冊子を見せ、同月18日、原告はウェディングドレスを購入したこと、同年11月3日に、被告は、結婚の挨拶のために原告の自宅を訪れていること、平成16年2月28日、原告は、結婚の挨拶のために、岡山へ赴き被告の両親と面会したこと、その後、広島のマンションを被告が原告の為に購入していること、平成16年8月22日からは、原告と被告は同居を開始していること、平成16年12月4日、被告は原告とともに、原告の婚約者として、東京にて行われた原告の妹の結婚式に出席したことが認められる。
そして、かかる原告及び被告の結婚生活への準備が進展している過程において、被告は結婚の意思がないなどの積極的意思表示をしていないことからすると、結婚へ進展することを黙認していたといいうるのであり、遅くとも平成16年2月ころには、婚約が成立していたものというべきである。
そして、原告は、被告に女性がおり、妊娠していると知り、体調を崩し、結局、母親に付き添われて帰京したのであるから、被告に婚約破綻の責任があるものというべきである。
被告から結婚を申し込まれ、被告との結婚生活を夢見て準備を重ねてきた原告が、被告に、他に女性がおりその女性が妊娠していたと知り、これがために被告の他に頼る人物のいない広島で体調を崩し、また、被告と被告の父がその女性と面会するために外出し、1人取り残された原告の悲痛、最終的には母親に付き添われて東京に戻った原告の心痛を考えると、その精神的苦痛に対する慰謝としては250万円が相当である。


婚約破棄の判例

昭和57年6月21日 徳島地方裁判所 判決

【判決要旨】
被告らは結納交付後ともに本件婚姻につき消極的態度に変じたものであるところ、被告花枝(母親)の右態度が強度であったのに対し、被告太郎(婚約者)のそれは同花枝の働きかけを受けながらもむしろ優柔不断なものであつて、婚約破棄の意思表示を敢てした当の4月28日朝に至るまでの間は結婚式を実際にとりやめるまでの決意には至っておらず、仮に被告花枝が同太郎に対し婚約の履行をすすめなかつたまでも、かくまで反対の意思を強調することがなかったならば、同被告において、なおいくらかの浚巡を呈しつつも、本件婚約を破棄することなく婚姻していたものというべきである。
かかる場合被告花枝の右各行為、すなわち被告太郎に対する婚姻反対の働きかけ、原告の欠点の指摘、4月28日の丙村への電話並びに被告太郎と同行したうえの婚約解消の依頼等の各行為は一体となって被告太郎の婚約破棄の決意を誘発せしめ、右決意の形成に寄与したものというのが相当であり、ひつきようこれらは被告太郎による婚約破棄と相当因果関係を有すると解すべきである。
それ故被告らは共同不法行為者として原告に対し右婚約破棄によつて生じた損害について連帯して賠償の義務を負うものである。


婚約破棄の判例

昭和38年12月20日 最高裁判所 判決

【判決要旨】
当事者がいずれも高等学校卒業直後であり、男性においてなお大学に進学して学業を継続しなければならないときに肉体関係を結ぶに至つた場合でも、将来夫婦となることを約して肉体関係を結んだものであり、その後も男性において休暇で帰省するごとに肉体関係を継続し、双方の両親も男性の大学卒業後は婚姻させてもよいとの考えで当事者間の右の関係を黙認していたなど判示の事情のもとで、男性が正当の理由がなくて右女性との婚姻を拒絶したときは、右女性は婚姻予約不履行による慰謝料を請求することができる。


婚約破棄の判例

昭和38年9月5日 最高裁判所 判決

【判決要旨】
当事者が真実夫婦として共同生活を営む意思で婚姻を約し長期にたり肉体関係を継続するなど原審判決認定の事情(原審判決理由参照)のもとにおいて、一方の当事者が正当の理由がなくこれを破棄したときは、たとえ当事者がその関係を両親兄弟に打ち明けず、世上の習慣に従つて結納をかわし、もしくは同棲していなくても、相手方は、慰謝料の請求をすることができる。


婚約破棄の判例

昭和38年3月26日 最高裁判所 判決

【判決要旨】
婚姻予約当事者の一方が自己の親に加担し、もしくは親が右当事者本人に加担し、他の一方をして婚姻を断念せざるを得ない境地に陥れて婚姻予約を破綻させた場合、これについて正当の事由を有しないときは、共同不法行為として各自連帯して損害賠償の責任を免れ得ない。



妊娠中絶に対する慰謝料請求 判例

この判例は、婚約破棄の事案ではありませんが、男女間において生じた妊娠中絶に対して、男性側の不誠実な対応に対する慰謝料を認めた、画期的な事例ですので、掲載しておきます。

通常、男女間の「妊娠中絶」については、レイプなどの特別な事案以外、あくまで双方合意の関係によって生じた結果であるため、いずれか一方だけに慰謝料などは生じないと解することが一般的ですが、相手方男性の対応如何によっては、不法行為責任が認められるという判断がなされております。


平成21年10月15日 東京高等裁判所 判決

【主文】
当裁判所も,被控訴人の請求は,控訴人に対して114万2302円及びこれに対する平成20年3月4日から支払済みまでの遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからその限度でこれを認容し,その余の請求は理由がないからこれを棄却すべきものと判断する。

【判決要旨】
胎児が母体外において生命を保持することができない時期に,人工的に胎児等を母体外に排出する道を選択せざるを得ない場合においては,母体は,選択決定をしなければならない事態に立ち至った時点から,直接的に身体的及び精神的苦痛にさらされるとともに,その結果から生ずる経済的負担をせざるを得ないのであるが,それらの苦痛や負担は,A男とB子が共同で行った性行為に由来するものであって,その行為に源を発しその結果として生ずるものであるから,A男とB子とが等しくそれらによる不利益を分担すべき筋合いのものである。

しかして,直接的に身体的及び精神的苦痛を受け,経済的負担を負うB子としては,性行為という共同行為の結果として,母体外に排出させられる胎児の父となったA男から,それらの不利益を軽減し,解消するための行為の提供を受け,あるいは,B子と等しく不利益を分担する行為の提供を受ける法的利益を有し,この利益は生殖の場において母性たるB子の父性たるA男に対して有する法律上保護される利益といって妨げなく,A男は母性に対して上記の行為を行う父性としての義務を負うものというべきであり,それらの不利益を軽減し,解消するための行為をせず,あるいは,B子と等しく不利益を分担することをしないという行為は,上記法律上保護される利益を違法に害するものとして,B子に対する不法行為としての評価を受けるものというべきであり,これによる損害賠償責任を免れないものと解するのが相当である。

A男は、父性としての上記責任に思いを致すことなく,B子と具体的な話し合いをしようともせず,ただB子に子を産むかそれとも中絶手術を受けるかどうかの選択をゆだねるのみであったのであり,B子との共同による先行行為により負担した父性としての上記行為義務を履行しなかったものであって,これは,とりもなおさず,上記認定に係る法律上保護されるB子の法的利益を違法に侵害したものといわざるを得ず,これによって,B子に生じた損害を賠償する義務があるというべきである
(なお,その損害賠償義務の発生原因及び性質からすると,損害賠償義務の範囲は,生じた損害の2分の1とすべきである。)。

【判決認容額114万2302円の内訳】
女性の精神的苦痛 200万円(いわゆる慰謝料部分)
●治療費等68万4604円
●合計268万4604円
双方平等に折半して負担するとして、金134万2302円
これに弁護士費用10万円を加算して、金144万2302円。
男性が中絶費用として、すでに30万円を渡しているので、
144万2302円より30万円を控除して、金114万2302円。




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